本日付のSan Jose Mericury Newsが表題のようなニュースを報じている。
これによると、AT&Tが「TVサービスのフランチャイズ契約法は既に無効になっている」として、フランチャイズ契約なしでTVサービスに進出することについて、サンノゼ市議会はこの申請を棄却する議決をした、というのだ。
しかし記事によると、TVサービスのフランチャイズ契約はカリフォルニア州と締結する法案が州議会で議論されており、これが通過した場合、市議会の決定は無効になると考えられている。また合衆国議会でも国全体でのフランチャイズ契約法案が検討されているということだ。
記事によると、ケーブルTV会社がそのサービスを始めるにはサービス展開する地域とフランチャイズ契約を結ぶ必要があって、具体的には地域内の貧民地区であっても津々浦々サービスを提供すること、市制の広報や教育目的の放送を無料で提供するようにすることなどが含まれるらしい。
と言ってもなんだかよくわからないね。
で、ちょっと調べてみると、およそ70年代の中期から後期にかけてケーブルTVが普及するにつれて、これを公共目的でも利用したいという動きが広まり、ついにはケーブルTV会社に無料での「パブリックアクセス」サービスの提供を義務付ける法案が通過したそうだ。これには上記の記事紹介で述べたとおり、市制広報、教育的報道のほか、市民の放送権も含まれているらしい。これは市民が製作した放送が公序良俗に反しない限りケーブルTV会社はそれを無料で放送しなければいけない義務があるというものだ。
一方それと同時期にケーブルTVサービスを始めるに当たっては各地域とフランチャイズ契約、すなわち独占契約を締結しなければならないという条例が各地で制定されたらしい。条例の内容は記事に書かれている通りだが、地域によっては独占契約を締結する変わりに市に契約金を払わせたり、あるいは「パブリックアクセス」を提供するオフィスを無料で提供するか、市のオフィスの賃貸料を払うかどちらかを選択しなければならないなどの、まあ要するにケーブルTV会社に「金払え」要求をするような内容も含まれている場合があるようだ。
San Joseがどうしているのか調べた範囲ではわからないし記事にも書かれていないのだが、まあ同様の内容が含まれている可能性はある。
70年代あるいは80年代の、通信と放送が分離している時代にはそれでもよかった。
ところが最近では通信会社も放送事業に参画する動きが出てきており、各地で「地域ごとのフランチャイズ契約」を無効とする訴えが起きているようだ。
というのも、各通信会社とも各家庭までの光ファイバ設置に積極的に動いており、そうすると非常に大量の情報を一時に運べるようになり、電話やインターネットアクセスだけでは余力がありすぎる。そこで、こうした設備を使ってTV配信も行いたいと考え始めているようだ。
光ファイバは大変細い線で電話回線の何十本、何百本分もの情報を運ぶことができ、銅線のような経年劣化がなく、また軽いので電柱などの設備が簡単なもの済むなどの利点があるので、日本でも津々浦々まで光ファイバー網を設置する動きが積極的に進められている。
さて、上記のような通信会社の動きに対してケーブルTV会社は当然のごとく反対しているわけだが、ケーブルTV会社もインターネット接続サービスの提供を始めたり、インターネット電話サービスを始めたりなどして、もはや放送と通信の垣根はなくなりつつある。
こうした中、昨年テキサス州で、フランチャイズ契約は地域ごとではなく全州で行うことが決定され、つまりケーブルTV会社の地域独占という運営状態は事実上なくなり、電話会社の放送事業への参入が解禁となった。
こうした動きはすぐさまテキサス州以外にも広まっていき、カリフォルニアでも議会で議論されているというわけだ。
セコメントをする